【日本版DBS】既存スタッフの前歴確認はどう進める?3年間の移行期間と「分散申請」を成功させるコツ

12月に施行される「こども性暴力防止法(日本版DBS)」。こども向け事業を運営する経営者の皆様にとって、最も大きな懸念事項の一つが「現在働いているスタッフ(既存スタッフ)の性犯罪歴確認をどう進めるか」ではないでしょうか。

新規採用時とは異なり、既存スタッフ全員の確認を一斉に行うことは、現場の業務負担やシステムの混乱を招くリスクがあります。そこで国は、3年間の「移行期間」と、事務負担を軽減するための「分散申請ルール」を設けています。

本記事では、行政書士の視点から、既存スタッフへの対応方法と、スムーズな申請を実現するための実務的なポイントをわかりやすく解説します。

目次

パニックを防ぐ「3年間の移行期間」と「27分割」の分散申請ルール

義務事業者で働く既存スタッフの犯罪歴の確認には、施行から3年間の猶予が設けられています。
これに対し、認定事業者で働く既存スタッフの犯罪歴の確認は、認定の日から1年以内に行わなければなりません。

全国の事業者が一斉に申請を行うと、証明書を発行するシステムがパンクしてしまいます。そのため、事業者の所在地域や名称などの区分に基づき、申請時期を27のグループに分けて順次受け付ける運用が予定されています。

経営者がすべきこと: 事業所がどのグループ(申請時期)に該当するかを事前に把握し、年次計画を立てること。
優先順位の決定: 3年間あるからといって後回しにするのではなく、子供と密接に接する業務に就くスタッフから優先的にスケジュールを組むみましょう。

具体的な時期の決定方法は、施設の種別によって以下のように異なります。

1.公立学校(都道府県立・市町村立)の場合

各都道府県教育委員会が、市町村教育委員会と協力して具体的な時期を決定します。

決定の基準

採用年次、学校単位、学校種別、所在地などの区分に基づき、概ね均等に27の区分に分割されます。

ランダム性の確保

特定の職員が「あと2年は確認されない」といった予測(逃げ得)ができないよう、実施順序にはランダム性を持たせることが義務付けられています。

期限

令和9年(2027年)4月から順次開始し、令和11年(2029年)12月24日までに全員の確認を完了させる必要があります。

2.私立学校や児童福祉施設などの場合

こども家庭庁が都道府県ごとに27の区分(月単位)を割り振ります。

割り振りの仕組み

全国の対象従事者(約280万人)を平準化するため、1か月あたり約10万人が対象となるよう都道府県が各区分に割り当てられます。

通知方法

事業者に対して、各事業所の具体的な申請時期がシステム上で個別に通知されます。

3.認定を受けた民間事業者(学習塾など)の場合

既存の職員については、認定を受けた日から1年以内に犯罪事実確認を完了させる必要があります。

実務の肝!「内示(事前告知)」と申請タイミングの組み立て方

既存スタッフへの性犯罪歴確認は、スタッフ本人の同意が前提となります。ここで注意が必要なのが、「内示(事前告知)」と「実際の申請」のタイミングです。

職員への周知と準備スケジュール
対象事業者は、申請が必要な時期の4か月前を目安に、職員に対して戸籍情報の準備などが必要である旨を伝達しましょう。

制度周知と内示

申請時期が来る前に、全スタッフに対して「法に基づき確認を行うこと」「同意が必要であること」を丁寧に説明(内示)します。ここで拒否感が出ないよう、就業規則の改定やプライバシー保護の方針を併せて伝えることが信頼関係の維持に直結します。

同意の取得

分散申請の時期に合わせて、対象となるスタッフから個別に同意書をもらいます。

申請の実施

国が指定した27区分のタイミングに合わせて、システムを通じて申請を行います。

「来週やるから戸籍とってね」などという急な進め方は、スタッフの不信感と離職を招く恐れがあります。きちんとスケジュールを組んで、従業者へ事前の説明を丁寧にすることが大切です。

信頼される施設運営のために、戦略的な準備を

日本版DBSの導入は、単なる法的義務の履行ではなく、保護者や社会に対して「こどもたちの安全を最優先に考える施設である」という信頼を証明する絶好の機会でもあります。

〇「支配性・継続性・閉鎖性」の観点から業務を見直す
〇27分割のルールに沿って、3年間の計画を立てる
 ※認定事業者は1年以内に前科照会が必要なのでさらに早めに計画しましょう。
〇内示を通じてスタッフとの信頼関係を深める

この3点を軸に進めることで、現場の混乱を最小限に抑えつつ、より安全な教育・保育環境を構築できるはずです。具体的な就業規則の整備や、自社がどの申請区分に該当するかなど、不安な点は弁護士、社会保険労務士、行政書士等の専門家へお気軽にご相談ください。

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