プライバシー保護の鉄則:犯罪事実確認記録の厳格管理

2026年12月からの施行が予定されている「日本版DBS(こども性暴力防止法)」。こども向け事業を運営する皆様にとって、性犯罪歴の確認は「こどもの安全を守る」ための強力な武器となります。しかし、その一方で、取り扱う情報は「個人の犯罪事実」という極めて機微な個人情報です。

万が一漏えいすれば、従事者の権利を著しく侵害するだけでなく、事業者の社会的信用は失墜し、厳しい罰則の対象となります。今回は、事業者が守るべき「管理の鉄則」を実務的な視点でまとめました。

目次

犯罪事実確認記録等の定義と「機微性」の高さ

この制度で管理が義務付けられる情報は、単なる「書類」だけではありません。

犯罪事実確認記録等とは何か

本制度では、書面としての「犯罪事実確認書」と、その内容を記録した「犯罪事実確認記録」を合わせて「犯罪事実確認記録等」と定義し、厳格な管理を義務付けています。
具体例としては、主に以下のものが挙げられます。

  • 国から交付された「犯罪事実確認書」そのもの(書面または電子データ)。
  • 確認書の内容を他の書類や電子ファイルへ転記・コピーしたもの。
  • 特定性犯罪事実の有無を直接的に示唆する記号や隠語(例:前科の有無を「黒」「白」などの隠語で表現したものも犯罪事実確認記録等に該当します)。
  • 「こども性暴力防止法関連システム」上で閲覧・管理される確認結果のデータ。
  • 犯罪事実確認の実施状況を記した「帳簿」の一部(確認日や受領日などの情報が含まれます)。

なお、防止措置(配置転換等)を検討するために本人から聴き取ったより詳細な情報(犯行の具体的な内容や背景など)は、法律上は「特定性犯罪事実関連情報」として区別されますが、これらも犯罪事実確認記録等に準じた厳格な管理が求められます。

なぜ特別な管理が必要なのか

性犯罪歴は、漏えいした場合に個人の人権や生活に回復し難い影響を及ぼす恐れがあります。そのため、DBSでは個人情報保護法よりもさらに厳しい独自の管理規律を設けているのです。

適正管理のための4つのセキュリティ対策(情報管理措置)

事業者は、情報の取り扱い手順を定めた「情報管理規程」を策定し、それを遵守しなければなりません。

組織的・人的管理:権限の限定と教育

  • 情報管理責任者の選任と閲覧者の限定: 記録にアクセスできる従事者は、業務上真に必要な最小限の人数(理事長や人事担当部長など)に限定しなければなりません。
  • 教育と秘密保持: 取扱者に対しては定期的な研修を行い、退職後も含めた秘密保持義務を課す必要があります。
    物理的・技術的管理:のぞき見と不正アクセスの防止
  • 区域管理と施錠: 記録を閲覧・保管する区域を限定し、権限のない者の立ち入りや、背後からののぞき見を防止する措置を講じます。紙媒体であれば鍵付きのキャビネット、電子データであればアクセス制限や暗号化が必須です。
  • デジタル対策の徹底: 私用端末の利用は厳禁です。業務用端末を使用し、多要素認証やデータの暗号化、最新のセキュリティ対策(アンチウイルスソフト等)を施すことが求められます。

利用目的の制限と「廃棄・消去」の鉄則

情報は「持っていれば安心」というものではなく、「必要なくなれば即捨てる」のがこの制度のルールです。

目的外利用・第三者提供の厳格な禁止

取得した記録は、「犯罪事実確認」と「防止措置(配置転換等)」以外の目的で利用してはなりません。保護者からの問い合わせに回答することや、派遣元会社に前科の有無を伝えることも控えなければなりません。

30日以内の廃棄義務

犯罪事実確認記録等には、明確な「賞味期限」があります。以下のタイミングから30日以内に、復元不可能な方法で廃棄・消去しなければなりません。

  • 確認日から5年が経過した年度の末日
  • 従事者が退職(離職)したとき
  • 採用の内定を取り消した、あるいは本人が辞退したとき

法違反によるリスクと事業者が備えるべきこと

管理を怠った場合、行政処分だけでなく刑事罰の対象にもなり得ます。


厳しい罰則規定

帳簿の備付けを怠ったり、廃棄義務に違反したりした場合は、50万円以下の罰金に処される可能性があります。さらに、不正な利益を得る目的で情報を漏らした場合には、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金という非常に重い罰則が課せられます。

実務的なアドバイス

照会した犯罪事実確認記録等はシステム上での閲覧にとどめるのがベストです。印刷を禁止したり、Excelファイル等への転記を禁止するなどの運用ルールを定めることが、最大のリスクヘッジとなります。

配置転換が必要となった場合、その理由を「性犯罪歴があったから」だと情報管理者以外に伝えることはもちろん、ばれてしまうことも避けなければいけません。実務上、急な配置転換は周囲に疑問を持たれる可能性はあります。
法律は「こどもの安全」と同時に「従事者の機微な情報の保護」も強く求めています。そのため、事業者は情報漏洩に細心の注意を払って対応しなければなりません。これは保護者から配置転換について質問された時も、もちろん同様です。
配置転換に疑問を持った同僚や保護者が、うわさ等をすることによって本人が不利益を被らないよう配慮することが重要です。

もし仮に噂を広めたり、SNSに書き込んで拡散したりした場合、名誉を傷つけたとして損害賠償の対象となることも考えられます。十分に注意してください。

「あっ…(察し)」は心の中に留めましょう。憶測や推測で話題にしないように。自分のためにも、相手のためにも。保護者さんの中には噂好きな方もいらっしゃるので特に注意が必要です。絶対に自分が情報源にならないようにしましょう。
職員への研修や、保護者への説明会を行い、情報管理の大切さを説明して理解を得ましょう。


日本版DBSの導入は大変な準備と運用が必要です。しかし、だからこそ保護者に対して「私たちはここまで徹底して、お子様の安全を守っています」という姿勢を示す最大の信頼の証となります。

これらの運用を円滑に進めるためには社内規程の整備が不可欠です。当事務所は、法的な整合性を担保した「情報管理規定」の作成や、職員研修のサポートをいたします。制度開始に向けて、今から着実な準備を進めていきましょう。

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