日本版DBS(こども性暴力防止法)の全体像 こどもを守り、選ばれる教室・施設になるために

2024年6月に成立し、2026年12月に施行される「日本版DBS(こども性暴力防止法)」。こどもに関わる事業を運営する経営者の皆様にとって、避けては通れない極めて重要な制度がいよいよ動き出します。

「うちの事業所は義務なの?」「スタッフ全員の犯罪歴を調べる必要があるの?」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

目次

そもそもDBSって何??

DBSとは「Disclosure and Barring Service(前歴開示・前歴者就業制限機構)」の略で、イギリスにある制度です。子どもや要介護者など弱い立場の人に関わる仕事に就く人の犯罪歴を確認し、犯罪歴がある場合は就職を制限する仕組みのことです。

イギリスのDBSになぞらえて作られた日本版DBSとは、ざっくりいうと「子どもに関わる職業従事者の性犯罪歴を確認する制度」ということです。日本版DBS導入の最大の目的は、「性犯罪歴のある者が、職業を通じてこどもに接することを防ぐ」ことです。

この法律の目的は、こどもを性暴力から守ることはもちろん、事業者が適切な対策を講じることで、こどもたちが安心して過ごせる環境を社会全体で整えることにあります。本記事では、制度の全体像と、事業者が知っておくべきポイントを行政書士の視点で分かりやすく解説します。

なぜ今、新制度が必要なのか?「日本版DBS」立法の目的とこども家庭庁の役割

繰り返しになりますがこの法律の最大の目的は、「性犯罪歴のある者が、職業を通じてこどもに接することを防ぐ」ことです。

これまで、個別の事業者が採用候補者の性犯罪歴を確認することは、プライバシー保護の観点から非常に困難でした。しかし近年の教育者による犯罪、未成年が被害にあう事件は増加の一途をたどっています。

文部科学省の調査によると、児童生徒らへの性犯罪・性暴力(わいせつ行為)や同僚らへのセクハラで2024年度に処分された公立学校教員は、281人、そのうち児童生徒ら子どもへの性暴力による処分者は134人(「性行」が38人、「盗撮・のぞき」34人、「体に触る」31人)とのこと。公立の学校で処分が決定されているだけでこんなにもたくさんの被害が起こっているなんて驚きです。
わいせつ行為やセクハラで処分の公立校教員、昨年度281人…子どもへの性暴力は134人 読売オンライン

2026年1月に入ってからも岡山県の元教諭が盗撮で3度目の逮捕、埼玉県の教諭が児童にわいせつな行為をしたとして逮捕される等、こどもの被害が後を絶ちません。

日本版DBSでは、こども家庭庁が主体となり、法務省と連携して性犯罪歴の照会を行う仕組みを構築します。
こども家庭庁は、事業者からの申請に基づき「犯罪事実確認書」を発行するなどのプラットフォームとしての役割を担い、国を挙げて「こどもへの性暴力」の芽を摘む体制を強化します。それによりこどもの被害を未然に防ぐことを目的としています。

「義務」か「認定」か。学校設置者と民間事業者の大きな違い

今回の制度では、事業の性質によって「義務化される事業者」と「任意で認定を受ける事業者」にわかれます。

学校・保育所など(義務)


国・自治体、学校法人、認可保育所などは、採用時に性犯罪歴を確認することが法律上の義務となります。確認を怠った場合、行政勧告や是正命令の対象となります。

学習塾・スポーツクラブなど(認定制度)


民間の学習塾、スポーツクラブ、放課後等デイサービスなどは、現時点では「任意」の参加です。しかし、こども家庭庁の認定を受けることで、日本版DBSを利用できるようになります。
認定を受けた事業者は「こどもを守る基準を満たした安全な施設」として公式に公表されるため、保護者からの信頼を得るための重要な指標となるでしょう。

対象となる業務の境界線とは?ガイドラインが示す「3つの指標」

「どのスタッフを照会対象にすべきか」という判断基準について、ガイドラインでは事業の「支配性」「継続性」「閉鎖性」という3つの要素を重視しています。

〇支配性(対等でない関係性)
指導者と生徒など、こどもに対して影響力や心理的支配力が及ぶ状況にあるか。
〇継続性(繰り返しの接触)
一度きりのイベントではなく、定期的・継続的にこどもと接する業務であるか。
〇閉鎖性(他者の目が届かない環境)
個室での指導や、更衣室・宿泊施設など、第三者の視線が遮断される場面があるか。

例えば、受付事務スタッフであっても、こどもと1対1になる時間が長い場合や、清掃スタッフがこどもの更衣中に立ち入る可能性がある場合などは、照会対象に含めるかどうかの検討が必要になります。実務上は、この3要素に照らして「リスクのある業務」を洗い出すことが必要となります。

どの人が対象で、どの人が対象ではないかは事業所の運用によって変わってくるということです。

詳しくはこども家庭庁が公開しているガイドラインをご覧ください。

こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)

といっても300ページを超えるボリュームで読むのが大変、現場が忙しくそんな時間ないよ!!という事業者様ばかりではないでしょうか。オンラインで受けられる説明会も開催されているようなので上記のリンクより子ども家庭庁のHPをご覧くださいね。

信頼される事業運営のために、今から準備できること

日本版DBSの施行により、こども向け事業における「安全」の定義がアップデートされます。経営者の皆様にとっては、単なる事務手続きの増加ではなく、「こどもの安全を第一に考える姿勢」を明確に示す絶好の機会でもあります。

2026年になり具体的なガイドラインの詳細が公表されました。まずは自社の事業が「義務」なのか「認定」を目指すべきなのかを確認し、スタッフへの説明や就業規則の改訂など、体制整備を段階的に進めていきましょう。

「何から手をつければいいか分からない」という場合は、弁護士、社会保険労務士、行政書士へご相談ください。制度を正しく理解し、こどもたちが笑顔で過ごせる環境を共に守っていきましょう。


執筆者プロフィール
沖縄県 那覇市に事務所を構えるミライズ行政書士事務所です。
こども向け事業のコンプライアンス支援を通じて、健全な運営をサポートいたします。

初回無料相談は完全予約制となっております。まずはお問い合わせください。

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