新規採用を考えている事業者は今すぐ弁護士or社会保険労務士に相談すべし!!【日本版DBS】

こども向け事業を運営する経営者の皆様にとって、スタッフの採用は事業の安定的な継続に関わる重要なプロセスです。2024年に成立、2026年12月施行される「日本版DBS(こども性暴力防止法)」により、一定の事業所では採用候補者の性犯罪歴の確認が義務付けられます。

とりあえずもう新卒の募集かけちゃったけど、何なら内定出すけど。何か問題あるの?

大ありです!
いますぐ顧問の弁護士か社会保険労務士に就業規則やら雇用契約書やらを変更してもらってください!!!

本記事では、行政書士の視点から、募集前に取り組んでおく事、内定後のフローやマイナンバーカードを活用した最新の申請方法、そして対象業務にの職員の判断基準ついて分かりやすく解説します。

目次

いますぐ雇用契約書、就業規則の変更・整備が必要な理由

新規採用活動を行う前に、雇用契約書や就業規則を変更・整備しておくことは極めて重要です。
日本版DBSのガイドラインに基づき、具体的な変更の必要性とその内容について解説します。

就業規則等の変更が必要な理由

労働法制の観点から、採用内定の取り消しや解雇、配置転換などを有効に行うためには、あらかじめ就業規則にその根拠(懲戒事由や解約事由)を定め、周知しておく必要があります。

従業員に犯罪歴があったからといって、それを理由に簡単に解雇できません。

特に採用後に特定性犯罪事実(性犯罪歴)が判明した場合、採用選考時に「前科がないこと」を条件として明示し、本人が虚偽の申告をしていたのであれば、「重要な経歴の詐称」として内定取消しや懲戒処分の対象としやすくなります。

具体的な変更・記載すべき内容

以下の項目を就業規則やサービス規律、募集要項等に盛り込むことが推奨されています。

就業規則(懲戒事由・サービス規律)の整備

  • 重要な経歴の詐称を懲戒事由として明記する。
  • 「児童対象性暴力等」および「不適切な行為」の定義と禁止を定め、これらに該当する行為を行った場合は厳正に対処する、懲戒処分の対象とする旨を記載する。
  • 刑罰法規に違反する行為や企業秩序を乱す行為を懲戒事由に含める。
  • 法に基づく犯罪事実確認(日本版DBS)の手続に従う義務を定め、正当な理由なく拒否した場合は業務命令違反として処分の対象になり得ることを明記する。

募集要項・内定通知書・誓約書の整備

  • 募集要項:採用条件として「特定性犯罪前科がないこと」を明記する。
  • 内定通知書:内定取消事由として「重要な経歴の詐称」が含まれることを記載する。
  • 誓約書・履歴書:特定性犯罪前科の有無について、書面で明示的に確認(申告)させるステップを設ける。
    書面でというのがポイントです。面接時に口頭で「犯罪歴ありますか?」「ありません。」というやり取りだけでは事前に確認した証拠になりません。必ず「特定性犯罪の前科はありません」と明記した誓約書にサインをもらうようにしましょう。

採用活動における事前の伝達事項

求職者に対しては、採用面接等を通じて以下の事項を伝えておく必要があります。

  • 制度の目的と、対象業務に従事する場合には犯罪事実確認が必須であること。
  • 確認の結果、特定性犯罪事実該当者であると判明した場合や、必要な書類(戸籍等)を提出しない場合は、対象業務に従事させることができないこと。

例えるなら 就業規則や契約書の変更は、「スタジアムに入るための入場ルール」を入り口の看板に書き込み、チケットに明記する作業のようなものです。ルールが事前に示されていなければ、後から問題が見つかったとしても、退場を求めることが法的に難しくなってしまいます。安全な環境を守るためには、試合が始まる前に、ルールを誰にでも見える形にしておく必要があります。

内定後の犯罪事実確認のフローとタイミング

犯罪事実確認は、採用選考のどの段階で行うべきでしょうか。結論から言えば、「内定を出した後すぐ」に行いましょう。
犯罪歴は極めて機微な個人情報です。応募者全員に対して一律に犯罪事実確認を行うのではなく、採用の意思が固まった候補者に対してのみ実施することで、プライバシー保護と事務負担の軽減につながります。

上記にも詳しく記載しましたが、求人票や面接時に「採用にあたっては日本版DBSに基づく犯罪事実確認を行う」旨を明示し、内定通知書において「確認の結果、欠格事由に該当した場合は内定を取り消す」という条件(解除条件)を付すことが大切です。

マイナンバーカードでスムーズに。犯罪事実確認書の交付申請プロセス

実際の確認手続きは、こども家庭庁に対して行います。
事業者が勝手に調べることはできません。事業者がシステムを通じて対象者を登録し、その後本人が「マイナンバーカード」等を用いて同意・申請を行う仕組みが想定されています。

マイナンバーカード活用のメリットとしては、従来の証明書発行のような対面や郵送の手間が省け、迅速に照会結果を得ることが可能である点です。経営者としては、応募者に対して「マイナンバーカードの準備」を事前に周知しておくことが、スムーズな採用活動の鍵となります。

事業者は、のちに国から届く「確認結果(性犯罪歴の有無)」を受け取り、適切に管理・廃棄する法的義務を負います。

対象となる職務を見極めるガイドラインの3要素「支配性・継続性・閉鎖性」

すべてのスタッフに確認が必要なわけではありません。こども家庭庁のガイドラインでは、その職務がこどもに対して以下の3つの性質を持っているかどうかが判断基準となります。

  1. 支配性:こどもに対して指導・監督する立場にあり、心理的な影響力を行使できる関係性かどうか。
  2. 継続性 :一回きりの接触ではなく、定期的・継続的にこどもと接する職務かどうか。
  3. 閉鎖性: 他の職員や保護者の目が届かない、1対1や密室状態になりやすい環境かどうか。

例えば、送迎バスの運転手や個室での指導員などは、これらの要素が強いため確認の必要性が高いと判断されます。事業者は新規採用するスタッフがこの3要素に該当し犯罪事実確認が必要な職種なのかを事前に把握し、必要な場合はすぐに確認の手続きができるように準備しましょう。

日本版DBSの導入は、こどもの安全を守るだけでなく、正しく運用することで「安心・安全な施設」としての信頼ブランドを高めることにつながります。

なにも対策せずに採用したスタッフに前科が判明したが、解雇できないため雇い続けなければならない、などの状況を回避するために事前の準備が必須です。
法制度の詳細は多岐にわたるため、自社の採用フローが法に準拠しているか不安な場合は、弁護士、社会保険労務士、行政書士等の専門家へお気軽にご相談ください。適切な準備を行い、自信を持って新しい仲間を迎えられる体制を整えましょう。

田畑

行政書士からのワンポイントアドバイス

「犯罪事実確認を行えば100%安全」というわけではありません。
性犯罪は疑わしい場合でも不起訴になることが多いです。不起訴となった事件などは犯罪歴として事業所へ通知されません。

日本版DBSの制度はあくまで入り口のチェックです。日々の業務における見守り体制の強化や、職員研修の実施など、多層的な防犯対策を構築することがこどもの被害防止につながります。

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